2024年10月30日(コミュニケーション支援室)
すっかり陽が短くなった。少し残業をして職場を出ると、空には月が浮かんでいる。 今年の十三夜は10月15日だった。当日は、あいにくの雨模様だったが、その前日には少し欠けた月を雲間に観ることができた。 十五夜が中国由来なのに対し、十三夜は日本ではじまった観月の風習だ。「後の月見」とも言い、その歴史は平安時代まで遡るという。どちらも秋の実りに感謝するため収穫物を月に供え、神が宿るとされるススキを添える。 今どき、十三夜に月見をする家庭はどれくらいあるだろうか。以前、和菓子屋の店主から、十五夜と比べてマイナーな十三夜では、特に団子などを仕入れることもないと聞いた。 一方で、10月と言えばハロウィンである。アイルランド地方の古代ケルト民族の祭が、これほど日本を席巻することになるなど30年前は思いもしなかった。都心のとある駅前では、例年、DJポリスが現場指揮官車両に立ち、大勢の機動隊員が雑踏警備に出動する。自治体の長が記者会見で「来ないで欲しい」と呼び掛けるほどの大騒ぎだ。 海外由来のこうした文化を否定する気はないが、日本各地の伝統行事が衰退していくのはなんとも寂しい。人口の減少や高齢化による担い手不足、さらには時代の流れもあるのだろうが、日本のよき文化がひとつでも後世に残ることを願っている。 投稿者 コミュニケーション支援室 つゆくさ