2018年4月17日
夏場はとても暑く、私の経験の中で最悪の環境であった。日本から持ち込んだ温度計を百葉箱に入れていたのだが、なんと50度の目盛を越えていたのだ。風が吹くと暑いこと、例えて言えば、ヘアドライヤーを顔面に向けて当てているような感じ。
この時期、野菜不足にも悩まされた。熱気のため野菜がほとんど手に入らず、毎日3種類くらいの食材のみで過ごしていたある時、ある日本人スタッフが食卓をひっくり返そうとした。ちゃぶ台返しという様相。たぶん野菜不足(ビタミン不足?)による体の変調なのだろう。私はその時、サイトマネージャーとして現地の責任者役であったので、直ぐにカラチにある協力商社にTELをいれ、「野菜を送ってくれ!」と依頼。数日してキャベツの入った段ボール箱がたくさん空輸されてきた。これを食べたときの美味しさはよく覚えている。他のスタッフたちも落ち着きを取り戻し、キャベツの力を痛感した。追記だが、食事の支度(料理)は、専属のパキスタン人が調理してくれていた。彼らに日本人の味の好みを教え、自分にあった食事の提供をさせていたのだが、食材自体がないとなればどうしようもない。貴重な経験だった。
このように酷暑の地域ではあるが、ある時、雹が降った。かなり大粒の氷の塊で、車のボンネットが凸凹になるような勢いだった。突然、辺りが暗くなり、バタバタというような大きな音がしだした。みるみる辺り一面、白くなり、「何で!???」と。この後、大変な事態が訪れた。コオロギの大量発生だ。雹が解けた後なので、本来なら土漠やアスファルトの色となるべきなのだが、大群のコオロギで真っ黒という有様。車で通るとバキバキという、踏みつぶす音。ぞっとする光景だった。夜には、ドアや窓の隙間から忍び込んでくるので、ガムテープで隙間潰しもした。
別のある時には、乾燥地帯にもかかわらず、豪雨に見舞われ、多量の水が襲ってきた。トンネル状の所は水浸しで機械類に大損害、また石灰石鉱山からコンベア輸送するベルトコンベアのコンクリート基礎は水圧で横倒しになる、大きな被害が出た。
酷暑だけの現場と思っていた所にもこのような気象変化があるのだなと身をもって知った。(続く)
有田信二郎