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会長の部屋

随想録

2018年4月3日

海外生活の思い出(パキスタン編ーその3)

プラントサイト(建設現場)に近づくと、城壁のような壁が見えてきた。入口には厳つい門番(門兵)が居り、「ここはどこだ?」という第一印象だった記憶がある。このプラントサイトはだだっ広い土漠にあり、周囲にはベドウィンという遊牧民がいるそうで、彼らの侵入を防ぐために周囲に壁を巡らせているとのことだった。ベドウィンの人達は定住を好まず、従って国籍も気にしない(持たない?)。正に我が身は自分で守るという人たちであるがゆえに、私たちのプラントサイトも自分たちを守るために城壁を築いているということ。こんな世界もあるんだ!と思った次第。この城壁には出入り口が2か所あり、共に門番(パキスタン軍の兵士)が守備を固めているといっていた。

中での生活はそれなりに整備されていて、私たち日本人の住居には空調設備が完備されていた。ただ、娯楽といえるものはなく、日本から持ち込んだカラオケ(当時は8トラックやカセットテープ)やゴルフ道具で時間をつぶしたものだ。面白い遊び(?)にも興じた。それは「トカゲを車で追いかける」というもの。そこには大きなトカゲ(たぶん全長で40~50cmくらい)が居り、それを小型ジープで追い回すという、今から思えばちょっと可哀そうな時間つぶしではあるが、このトカゲ、結構素早く、捕まえられるような代物ではなく、いつの間にか土漠の所々にある穴にスッと逃げ込まれてばかりだった。

この仕事は、パキスタンの国家プロジェクトであったため、私たちの現地での仕事は技術指導が主体。現場では土建・機械・電気関係の労働者(主にパキスタン人)約2,000人が働いていた。気象条件はとても過酷であったため、日本人スタッフは半年交代で赴任・帰国を繰り返した。(続く)

 2018年4月3日 有田信二郎

うべっぽ