2022年3月4日
ある人の訃報を目にした。私より少し上の方で、豪快な人物だった。以前にも書いたことだが、若い頃プラントエンジニアとしてアラブ首長国連邦に赴任していた。ちょうどイランーイラク戦争が勃発した頃だったが、まだまだ穏やかな時代であった。当時のプラント建設には日本人も多く赴任しており、宿舎から建設現場までマイクロバスで通勤していた。そんなある日、このAさんが時間になっても現れないという事件が起きたのだ。彼は私の担当セクションのスーパーバイザーであったので、総務担当の人と共に探し回った結果、なんと警察署の留置所に入っていた。事情を聴くに、現地で禁止されている酒の瓶を路上で持ち歩いていたようであった。同国では、日本人には飲酒は許可されていたが、酒を裸のまま持ち歩くことは駄目。Aさんは、どうも酔った勢いでそのまま酒瓶を手に持って町中を歩いていたようで、警察に捕まった次第。留置所の食事にと毎度食料を届けた思い出がふっと頭をよぎった。
豪快という言葉が似合う人だった。ご冥福をお祈りします。
有田 信二郎