2017年12月1日
仕事は、セメントプラントを建設するというもの。私の担当する機械関係の下請会社は台湾の業者。また、土建関係の下請は日本の建設会社と韓国の業者が現地入り。ピーク時では総勢1700名くらいの人たちだったと記憶している。機械関係では700名程度の労働者が居り、29歳の若輩である私もいかにすれば彼らにうまく仕事をしてもらえるかに、日々考えを巡らせていた記憶がある。ある日、台湾業者の春節祝い(だったと思う)に招待され、祝宴の中で私の担当する部門のチーフエンジニアから「ミスター有田、一緒に乾杯しよう!」と持ち掛けられた。私はアルコール類が全くダメで、酒を飲んだことがほとんどないので『申し訳ないが酒はダメなんだ』と伝えると、「だったら、明日から仕事の指示には従わない!」とちょっと不機嫌。そこで『もし、この酒を飲めば、何でも言うことを聞くか?』と問うと「YES!!」と即答あり。そこで、コップ一杯のウイスキーを一気に飲み干したのだが、これが最悪の事態を招いてしまった。自室に帰った時には心臓がバクバクしてとにかく苦しい(急性アルコール中毒?)、とにかく助けてほしいとの思いで、隣の部屋のドアを叩くも先輩から「寝とけ!」の一言。薄情者!と心の中で呪った覚えがある。全く酒類がダメなのは、この時の苦しい経験も一因しているのだろう。
現場での風景でいまだに頭に浮かんでくる光景がある。私の担当部門にSP タワーという高層建築物があり、高さは100m。建設中はエレベータがなく、階段を徒歩で上り下りしていた。当初は問題なかったのだが、だんだん高さが積み重ねってくるとこれがだんだん大変となってきた。私の役割は、進捗の確認や図面通りにできているかどうかの検査、そして現場エンジニア(台湾業者)への指示等々であり、必然的に高所作業場へのアクセスが必要。現地の気温は40度越えが当たり前、その中での階段昇降は大変であった。そこで、無線機で事務所に居るオフィスボーイ(インド人)に指示して、飲料水(ペットボトル)を2-3本運ばせていた。とにかく暑いので、水分補給は必須。ボーイが事務所を出て、テクテクとタワーに近づき、ゆっくりと上がってくるのをじっと眺めている光景が浮かぶ。
(続く)